B型肝炎ワクチン種類の変更は抗体をつけるためにおすすめ?
ワクチンの種類でも有効性に違いが認められています。例えば、日本国内ではB型肝炎ワクチンはビームゲン(KMバイオロジクス)、ヘプタバックス-Ⅱ(MSD)の2製品が用いられています。
ある研究では初回の3回接種(1クール目)で抗体が獲得できなかった方が2クール目を接種した際に69%(73/106)が抗体誘導されました。
同じワクチンを使用した場合の抗体獲得率は53%(25/47)、異なるワクチンを使用した場合の抗体獲得率は81.4%(48/59)でした。ワクチンの変更はB型肝炎ワクチンの免疫をつけるために有効な手段といえます。
B型肝炎ワクチンはワクチンごとに免疫がちがう?
B型肝炎ワクチンはワクチンごとに抗原量やアジュバントが異なります。
例えば、国内でよく利用されるビームゲン(KMバイオロジクス)、ヘプタバックス-Ⅱ(MSD)は抗原量が10 μgです。
海外でよく利用されるEngerix-B(GSK社)、Twinrix(GSK社)、HEPLISAV-B(Dynavax Technologies)は抗原量が20μgと2倍量を含有しており、高い免疫原性を持っています。
また、HEPLISAV-B(Dynavax Technologies)はToll-Like Receptor(TLR)9の合成リガンドであるCpGオリゴデオキシヌクレオチド(CpG ODN)をアジュバントとして持つB型肝炎ワクチンです。
「HEPLISAV-B」とはどのようなワクチンですか?
HEPLISAV-B(Dynavax Technologies)は2017年にFDA(アメリカ食品医薬品局)により承認されました。
HEPLISAV-Bは強い自然免疫活性化能をもつCpG ODNをワクチンのアジュバントとしてもっており、アルミニウムアジュバントのEngerix-Bと比べても有効性が有意に高く、投与期間が短くかつ回数も少ない利点をもつワクチンです。
B型肝炎ウイルスの免疫を渡航や実習、留学や入職などに間に合わせるためにどうしたらいいか?
一般的にはB型肝炎ワクチンは3回(1シリーズ)接種するのに6ヶ月もの期間が必要であり、抗体価が上昇するまでの間、B型肝炎に無防備な状態が継続してしまいます。
新しいB型肝炎ワクチンである「HEPLISAV-B」は1ヶ月の間隔をあけて合計2回接種でB型肝炎の免疫をつけることができるワクチンであり、お急ぎの方やしっかり免疫をつけたい方にご案内をしています。
参照
海外渡航者におけるB型肝炎ワクチンの接種回数・間隔・抗体獲得についての検討
林健一
健和会大手町病院感染症内科
日本渡航医学会誌 15(1): 21-24, 2021.
B型肝炎ワクチン2, 3回接種後の年齢別抗体陽性率に関する検討 – 続報
菊池均1), 宮津光伸1), 永田俊人1), 大久保恵1), 後藤泰浩2)
1)Meitetsu Hospital Vaccinations Center, 2)総合上飯田第一病院
日本渡航医学会誌 16(suppl): 168-168, 2022.