B型肝炎ワクチン接種をしたのに抗体がつかないときの対応方法(1/2)

B型肝炎ウイルスとは?

B型肝炎ウイルス(Hepatitis B Virus:HBV)は感染力が非常に強いウイルスです。感染率はC型肝炎ウイルスの10倍で、B型肝炎ウイルスに感染するとそのうちの2%が劇症肝炎を発症し、発症しない場合でも慢性肝炎、肝硬変や肝がんのリスクがあります。

B型肝炎の免疫はどうやって確認するの?

一般的にはB型肝炎ワクチンは6ヶ月の間に3回ワクチンを筋肉注射で行い(海外のワクチンには抗体獲得を1ヶ月でできるワクチンもあります)、3回の接種が終了した1,2ヶ月後にHBs抗体を測定します。HBs抗体が≧10 mIU/mLであれば、B型肝炎ウイルスに対する免疫があると判断されます。

B型肝炎ワクチンの免疫がつかない人がいる?

B型肝炎ワクチンの3回(1クール)接種後に抗体が陰性(<10 mIU/mL)の場合、一般的にはもう3回(1シリーズ)接種が追加されます。その後同様に3回接種が終了した1,2ヶ月後にHBs抗体を測定します。この時の検査でもHBs抗体が陰性(<10 mIU/mL)だった場合、「ノンレスポンダー(ワクチンによって抗体を獲得できないひと)」と判断されます。

B型肝炎ワクチンで抗体ができる確率は?

国産のB型肝炎ワクチンは9割以上の高い抗体獲得率があるとされています。しかしながら、逆に言うと約1割で抗体獲得ができない人がいるということになります。

B型肝炎ワクチンは年齢が高いと抗体がつきにくいの?

年齢とともにB型肝炎ワクチンによる抗体獲得率は低下すると言われています。

40歳未満で86%(18/21) 40歳以上で67%(18/27)の抗体獲得率であったことが一部の医療機関から報告されています。

※海外渡航者におけるB型肝炎ワクチンの接種回数・間隔・抗体獲得についての検討より図改変

2016年10月1日からB型肝炎ワクチンは子どもの定期接種の一つになりましたが、大人になってからB型肝炎ワクチンを受ける方もまだ多くいます。

なぜB型肝炎ワクチンの免疫がつかないの?

B型肝炎ワクチンの抗体に影響する要因は、年齢、性別、肥満、基礎疾患(免疫不全)、遺伝的要因(ヒト白血球抗原:Human Leukocyte Antigen:HLA)等があるとされています。

その他にワクチンの種類、接種の手技、スケジュール等も関係すると言われています。

B型肝炎ワクチン抗体がつかない人が抗体をつけるための方法

B型肝炎ワクチンを受けても抗体がつかない方への対応方法として下記のような対策があげられています。

  • 接種方法(筋肉内注射・皮下注射)の変更
  • B型肝炎ワクチンの種類変更
  • 接種回数(4回以上投与)の変更
  • 接種量(倍量投与)の変更

(日本肝臓学会 B型肝炎ワクチンワーキンググループ)

次に、B型肝炎ウイルスの免疫を実習・留学や入職に間に合わせるための方法について説明します。
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B型肝炎ウイルスの免疫をつけるために
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