しょうふうとは

みなさんは、身近な病気である「破傷風」についてご存知ですか?

聞いたことはあるけど、その具体的な症状や予防法などは

いまいちわかっていないという方も多いと思います。

この記事では、破傷風について一からしっかりとご説明いたします。

破傷風は致死率が、非常に高いとても恐ろしい感染症です!

まず、破傷風の説明として最初にしておかなければならないのがその致死率の高さです。
破傷風は、無治療のままだと感染した成人の死亡率が15~60%もあると言われています。さらに恐ろしいことに、新生児だと治療を受けたとしても死亡率が80~90%もあるのです。

このように、破傷風は非常に恐ろしい感染症なのですが、現在では国内で破傷風を発症する方は年間100人程度で、死亡者はそのうち数名程度です。 これはひとえに予防方法の確立や、治療技術の向上、そしてワクチン普及などの賜物です。そのため、破傷風という病気の特徴やその予防方法、治療方法などについて学ぶことは非常に重要です。この記事で破傷風のリスクについて学んでいきましょう!

破傷風って
どんな病気ですか?

破傷風は、神経系の毒素を作り出す破傷風菌によって引き起こされる神経疾患の一つです。 簡単に言うと、筋肉を収縮させたり弛緩させたりする神経の働きのうち、収縮を抑える働きだけを邪魔してしまうのです。そのため、筋肉が過剰に収縮してしまうという疾患です。

皮膚の深い傷や創傷にこの菌が入ると発症することがあり、筋肉の硬直、痛み、顎の固定、全身の筋肉のけいれんなどの症状が現れます。重症化すると呼吸困難や心臓の問題も起こり、重大なリスクがあります。

破傷風菌は土壌、ほこり、動物の糞などに存在し、これらの菌が傷口に侵入することで感染します。錆びた金属や汚れた物体が傷口に触れるとリスクが高まりますが、浅い傷でも感染する可能性があります。基本的にヒトからヒトへの感染は稀ですが、感染者と接触する際には注意が必要です。

治療は
可能なのでしょうか?

破傷風に感染しても、治療は可能です。
治療の際に特に重要となるのは、以下の4つです。

1呼吸ができるようにすること

2毒素を中和すること

3筋肉のけいれんを抑えること

4治療後にワクチンを接種すること

1呼吸ができるようにすること
破傷風で筋肉がけいれんすると、呼吸に関わる筋肉もけいれんする可能性が高いです。そのため、人工呼吸器で呼吸を管理することが重要です。
2毒素を中和すること
体内(特に血中)に破傷風の毒素が存在するので、これらを中和して働かないようにする必要があります。この際には抗破傷風ヒト免疫グロブリンが用いられます。
3筋肉のけいれんを抑えること
治療のためには筋肉のけいれんそのものを抑える必要があります。けいれんは感覚刺激によっても誘発されるため、治療は暗く静かな場所で行う必要があり、筋肉を弛緩させる薬などによって過剰な筋肉の収縮を抑えることが重要です。
4治療後にワクチンを接種すること
一見すると「感染したのにワクチンを接種するの?」と疑問を持たれるかもしれません。 しかし、感染したのにワクチンを接種する必要があるのです。実は、破傷風に感染しても破傷風に対する免疫は獲得されず、そのまま放置するとまた感染してしまう可能性があります。そのため、症状が落ち着いたらワクチンを接種して免疫を獲得する必要があるのです。

予防方法は
ありますか?

予防には、破傷風ワクチンの接種が非常に重要です。通常、子供の頃に5回のワクチン接種と、その後10年ごとのワクチンブースターが推奨されています。最終接種から10年経過した方は、追加の予防接種が必要です。また、傷口を清潔にし、適切に処置することも予防策の一環です。破傷風は深刻な疾患ですが、予防が最も重要です。

傷口や創傷の管理と、定期的なワクチン接種を受けることで、この病気を予防することができます。

特にどんな人が
予防するべきですか?

破傷風を発症する方として多いのは、予防接種を受けていない方や予防接種を受けてから時間が経ってしまい、効果が減弱したと考えられる中高年以上の方などです。特に、中高年以上の方は、災害時のボランティアに行き、瓦礫などで怪我をしてしまった際に破傷風を発症してしまうというケースも少なくありません。

そのため、将来的にボランティア等に行こうと考えている方は、ワクチン接種を検討すると良いでしょう。破傷風ワクチンは、接種から10年ほどは効果が持続すると言われています。

また、ワクチン未接種の女性から出生した新生児に非衛生的な臍帯処置が行われた場合にも発症することがあるため、妊娠前のワクチン接種もお勧めします。先ほどご説明した通り、新生児の破傷風感染後の死亡率は非常に高いです。生まれてくる子供のためにもワクチン接種をご検討ください。